専門領域の講義をオンラインで配信し
全国の研究者に学ぶ機会を提供

独立行政法人産業技術総合研究所 水谷様(※インタビュー当時)

さまざまな研究グループが存在する独立行政法人産業技術総合研究所様。 その中で、ゲノム情報を活用するためのバイオインフォマティクスを主とし、研究開発および人材育成に取り組んできたのが、産総研CBRC(ゲノム情報研究センター/現在は組織解消※)です。 同センターでは2007年より、企業内の研究者に向けてeラーニングを活用したオンライン講義の配信を行っています。 このプロジェクトの背景と成果について、担当者の水谷健太郎さんにお話を伺いました。 ※2011年より産総研生命工学領域 創薬基盤研究部門へ引き継ぎ

01圧倒的な人材不足を解消するために
講義の配信をスタート

バイオインフォマティクス分野は、生命科学と情報技術が融合した新しい研究領域です。創薬研究などに対し大きな可能性を秘めた領域ですが、ゲノム解析などの情報技術が飛躍的に進化する一方、それを活かし、膨大なビッグデータを適切に活用できる人材が圧倒的に不足していました。2001年に設立された産総研CBRCではこの課題を受け、企業内の研究者を対象に、専門家によるバイオインフォマティクスの基礎講義などを行うようになります。しかし開催地が東京であること、講義日程が限られることなどから、地方在住の研究者にはどうしても参加のハードルが高いものでした。そうした全国に散らばっている研究者の要望に応えるためにスタートしたのが、eラーニングを活用した講義のオンライン配信です。

02視聴する側のデバイスや
環境に合わせてサポートを強化

当センターで実施されている講義は1時間~1時間半程度。それを録画した映像と講義スライドを合わせ、eラーニングでのオンライン配信をはじめたのが2007年のことです。当時すでに、既存の配信システムを利用していたのですが、機能面などでかなり不便な部分がありました。そこでシカデンさんにこちらの要望を一つひとつ聞いてもらい、より最適なものへと切り替えることに。シカデンさんには、それ以前から模擬試験のシステム構築などに協力してもらっていたので、安心してお任せすることができましたね。しかしネットでの動画視聴が当たり前になった現在と違い、当時はまだ、長時間の動画を配信するためのハードルが多々ありました。そのためスタート当初は担当の方に毎週のように講義に通っていただき、さまざまなトラブルやアクシデントを一緒に解決していきました。

03蓄積してきたオンライン講義が
人材育成のための財産に

現在、教材として配信されている講義は70本以上。オンライン講義によって日程や場所に縛られることなく、全国の研究者に学ぶ機会を提供できるようになり、着実に受講者が増えています。しかしバイオインフォマティクス領域の人材は、まだまだ不足しているのが現状です。そのため次のステップとして、より多くの人に当領域に触れる機会を作っていくため、現在は登録者限定で配信している講義をオープン化する準備を進めています。シカデンさんにご協力いただき講義のラインナップをここまで充実させることができたので、今後はそれらを積極活用していきたいですね。スマートフォンやタブレットを利用して誰でも気軽にアクセスできるような形にし、さらに当領域の普及を後押ししてくれることを期待しています。